Case事例紹介

個性を消さず、未来へつなぐ。
互いの信頼のもと、実現したM&A。
左:白谷 良輔様 右:河合 恒一様
譲渡企業 

株式会社エコアップ

代表者名: 白谷 良輔様

事業内容: 環境コンサルタント業

譲受企業 

株式会社環境アセスメントセンター

代表者名: 河合 恒一様

事業内容: 環境コンサルティング業(環境影響評価、環境調査、地域環境計画、環境教育)

M&Aの進行スケジュール

初回面談日: 2024/12/26

コンサルティング契約日: 2025/4/23

TOP面談: 2025/11/18

最終契約: 2026/3/31

静岡県富士市で、環境調査・分析に取り組んできた株式会社エコアップ(以下、エコアップ)。創業から30年、同社が今回選んだのが、M&Aによる事業承継です。譲渡先は、同じ環境分野で高い信頼を集める株式会社環境アセスメントセンター(以下、環境アセスメントセンター)。長年の想いを託す相手として、なぜこの選択に至ったのか。そして、M&Aを経て会社にはどのような変化が生まれているのか。
両社代表に、M&Aを決断するまでの背景、静銀経営コンサルティング(以下、SMC)への相談、そしてこれからの展望について伺いました。

「会社を残す」だけではなく、「想いをつなぐ」

エコアップ創業の経緯を教えてください。

白谷様(以下敬称略): 私は大阪の淀川近くで育ちました。きれいな淀川が汚れていくのを目の当たりにした体験から土壌や環境に関心を抱き、水質改善や土壌に関わる仕事をしていました。
富士山周辺の黒い土には強い興味がありましたし、田子の浦をはじめとしたこの地域の公害や水質汚染の問題を改善する仕事に取り組みたいという思いから、55歳で創業しました。会社名のエコアップには、「環境をよくする」という想いを込めています。

M&Aを意識されたきっかけを教えてください。

白谷: M&Aを意識するようになったのは、やはり年齢のことが大きいです。
60代の頃からいずれは自分が退く時が来ると考えていました。急に辞めたら社員にも取引先にも迷惑をかけてしまうので、ある程度形がつくまでと気づけば70歳を過ぎてしまいました。ここ数年は、自分の寿命の方が先になってしまったら、それこそ迷惑をかけてしまうと、本格的に事業承継に向き合うようになりました。
一方で、社内での承継を考えなかったわけではありません。ただ最終的には、社員や会社の将来を考え、外部の力を借りる方が良いと判断しました。

SMCに相談し、環境アセスメントセンターを紹介されたときの印象はいかがでしたか。

白谷: SMCとは別の会社に、事業承継について相談したこともありました。その時は相手先の業種が違いすぎて、当社の事業内容や専門性とは合わないと感じました。
SMCに相談したときは、まず調査力が全然違うと感じました。地域の経済や経営、特に静岡県のことをよく把握しているという安心感がありました。
環境アセスメントセンターの名前が出たときは、本当に嬉しかったです。環境を広い視野で見ていて、社員の方々も素晴らしい。以前から魅力のある会社だと思っていました。

M&Aを進める中で不安や苦労はありましたか。また、従業員の皆さまにはどのように伝えられたのでしょうか。

白谷: 元々会社としては信頼していましたので不安は全くありませんでした。実際に河合社長にお会いして、社長の人柄や考え方にも強く惹かれましたし、うちの社員も合うだろうと安心しましたので、これから交渉を進めますとお互いの意思確認をできた時点で伝えました。
河合社長が、社員一人ひとりとお話してくださったことも大きかったです。一度会ったらファンになってしまう。本当にすごい才能です。

白谷(奥様): 稀に見る魅力的な人ですね。私も毎回会うのが楽しみです。

M&Aが成立して、会社にはどのような変化が生まれていますか。

白谷: 一言で表せば、皆が明るくなって、会社全体に前向きな空気が出てきたように感じます。

白谷(奥様): 朝のミーティングを見ても、皆さんの姿勢が変わったと感じます。
M&Aが成立した5月1日は、私にとって本当に嬉しい日でした。最後まで何が起こるかわからないという不安もありましたが、無事に決まってほっとしました。

一番の願いは従業員の幸せ

これからM&Aを検討される企業や経営者の方に、メッセージをお願いします。

白谷: まず大切なのは、自分たちの得意技をしっかり持つこと、それが世の中や地域にどう役立つのか、理解しておくことです。
それと同時に、個人ではできないこともあります。能力があり、先を見ている相手と一緒に協力し、スクラムを組めば、相乗効果が生まれるのだと思います。
目先のお金や損得だけではなく、社会にとって何が良いのか、地域にどう役立つのか。そういう視点を外さないことが大切だと思います。

今は、会社をいい流れに乗せられたという安心感があります。
一番の願いは、月並みな言葉になりますが、従業員のみんなに幸せになってもらいたいですし、それを見届けたいですね。自分の頭と命が続く限りは、皆さんの役に立てたら幸せです。

違いは敢えて残し、互いの文化や持ち味を大切に。

エコアップの紹介を受けた時の印象はいかがでしたか。

河合社長(以下敬称略): 当社はいわゆる第三創業期、私も60歳となり、会社を次の世代へどう繋いでいくのかを考え始めていたところ、SMCより今回のM&Aの提案を受けました。
同じ環境分野の会社ですが、私たちとは得意分野が違います。エコアップ、白谷社長についても以前から存じ上げておりましたし、尊敬もしておりました。提案を受けた際には、ぜひ引き継がせていただきたいと感じました。
環境の仕事では、地元の方、行政、事業者、専門家など、さまざまな立場の人が関わります。そういった場面で、エコアップの持つ専門的な分析による裏付けがあることは、環境アセスメントセンターにとっても非常に大きな強みになると考えました。

今回のM&Aで特に重視されたことは何でしょうか。

河合: 一番大切にしたのは、エコアップの良さを消さないことです。
M&Aというと、譲り受けた会社を自社のやり方に合わせていくイメージがあるかもしれませんが、私はそうではないと考えています。親会社・子会社という関係にはなりますが、会社は別会社のまま、看板もそのままです。エコアップの文化や持ち味を消さずに、強みを活かしたいからです。

統合するのではなく、違いを残すということですね。

河合: そうです。違いがあるから刺激になります。「同じようにやりなさい」ではなく、「なるほど、そういうやり方もあるんだね」と受け止めることが大切だと思っています。
中小企業の強みはスピード感と柔軟性です。大きな会社同士が協力するには時間がかかることでも、中小企業ならすぐに動ける。目的を共有しながら、それぞれの良さを残して協力することで、新しい価値が生まれると思っています。

エコアップの社員の皆さまと接して、どのような手応えがありましたか。

河合: 社員の皆さんとは、一人ひとり面談をさせていただきました。白谷社長から「引っ込み思案の方が多い」と聞いていたのですが、実際に話してみると、各自がこれからやってみたいこと、自分の仕事への思いをしっかり話してくれました。
私は、自分の視点を伝えたうえで、「皆さんの目から見たら、違う答えが出るはずだから教えてほしい」と話しました。私が見ているものを、エコアップの社員の方々が見たら、きっと違う発想が出てくる。その違いを知りたいと思ったのです。

印象に残っている言葉はありますか。

河合: ある方が「この仕事が好きです」「この会社に来てよかった」と力強く話してくれました。大変だけれど、やりがいがあると。
こちらが安心させる立場のようでいて、逆に私自身が大変刺激を受けました。

今回のM&Aによって、どのような広がりを期待されていますか。

河合: 期待しているのは、事業領域と地域基盤の広がりです。
エコアップは、土壌や農業関連、農薬や毒物に関する特殊な分析など、県内でも限られた会社しか対応していない分野に強みがあります。私たちの現場調査やコンサルティングと、エコアップの分析力が組み合わされば、提案の幅は広がり、説得力も増します。また、富士地域で30年事業を続けてきた実績とネットワークも大きな魅力です。その土地に根を張る会社と組むことで、静岡県東部での基盤も強くなります。
お互いの強みや経験を活かした、共創プロジェクトも動き始めました。個性豊かな社員達の資格や経験が新しい形で活きることにも期待しています。

地方が生き残るためのM&A

環境アセスメントセンター様にとって、M&Aは成長戦略の中でどのような位置づけなのでしょうか。

河合: M&Aは、単なる会社の買収ではありません。もちろん事業としての判断は必要ですが、それ以上に、相手がどんな思いで会社をつくってきたのか、どんな文化があるのか、どんな人たちが働いているのかをしっかり見ることが大切です。

白谷社長は「今が会社として一番いい状態だ」とお話されていました。今の社員、技術、会社の空気が過去最高であり、それをこのまま終わらせるのは惜しいと。その思いを知った以上、誰かが引き継いでいくべきだと感じました。

私たちも、実は過去に経営危機を乗り越え生まれ変わった経験があります。だからこそ、会社が止まらず、次の世代へ価値を渡していくことの大切さを実感しています。
今回のM&Aは、私たちにとっても次の成長に向けた学びの機会であり、次の世代に渡すはしごをつくっている感覚です。
今は、個性のある会社同士が強みを消さずに連携することは、地方が生き残っていく一つの選択肢にもなり得るのだと確信しています。

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