Case事例紹介
有限会社太陽
代表者名: 佐塚 光様
事業内容: クリーニング・リネン業
株式会社ホワイトウイングスホールディングス
代表者名: 中村 真治様
事業内容: クリーニング店舗及び工場の運営等
初回面談日: 2024/11/19
コンサルティング契約日: 2024/12/20
TOP面談: 2025/4/21
最終契約: 2025/7/30
島田市で寝具や病院・ホテルのリネン製品などの業務用クリーニングを行ってきた有限会社太陽(以下、太陽)。コロナ禍での打撃もあり今後の可能性を模索するなか、静銀経営コンサルティング(以下、SMC)のサポートによりM&Aを実施しました。譲受企業は静岡県内でクリーニングチェーンを展開し、県内シェア1位を誇る株式会社ホワイトウィングスホールディングス(以下、ホワイトウィングス)。業界内でも得意分野の異なる両社がM&Aに至った経緯や今後への期待について、太陽の佐塚様とホワイトウィングスの中村社長にお話を伺いました。
コロナ禍で低迷、事業を続けていくための方法としてM&Aを選択。
佐塚様(以下敬称略): 布団やホテルリネンなどの業務用クリーニングと、それに付随したリネンサプライを手がけています。顧客は静岡県内が主で、東は御殿場から西は磐田までになります。
コロナ禍で少し打撃を受けたこともあり、立ち止まって考える時間がありました。会社を生き残らせていくためにはどうするのがよいのか、いろいろ模索するなかでM&Aの情報に触れる機会もあり、一つの方法として意識しました。後継については、私自身まだ42歳で働ける年齢なのでそこまで真剣にではありませんでしたが、事業を続けていくために考えていかなければと思っていました。お付き合いのある静岡銀行さんと話をするなかでSMCさんをご紹介いただき、具体的に話が進んで行きました。
佐塚: 第一に考えたのは、従業員の雇用の継続です。そこが一番心配していた点ですが、ホワイトウィングスさんのほうから心配しなくていいと言っていただいたので、本当にありがたかったです。従業員の雇用が守られ、取引先にも迷惑が掛からないように、というのが大事な点でした。
顧客や従業員、太陽の持つ資源を生かして事業拡大へ。
中村社長(以下敬称略): 当社はこれまでBtoCのクリーニングを真面目にやってきて、品質は多分、量産型のクリーニングでは日本一になったんじゃないかと思えるところまで来ています。ただ、クリーニング需要というものが年々減っていて、業界全体がしぼんでいるなかで、業界内の位置づけが多少よくてもどうにもならないという現実がありました。
5年くらい前に社内体制を切り替えて製販を分離し、工場を運営する会社と店舗を運営する会社に分けました。工場運営の会社はグループ内の店舗からだけでなく、他のBtoCのクリーニング会社からBtoBで仕事を受けるというのも目的の一つにしています。
当社は質の高いサービスを提供できますが、BtoBの場合、品質よりも価格を重視されることが多く、品質にこだわっている分、価格競争になったらなかなか勝てないんです。だからこれまでBtoBの営業をそこまで本気でやって来なかったのですが、価格の安さよりも質を重視する仕事が徐々に増えてきた現実があり、リネンサプライヤーや直接営業の顧客を今後増やしていける余地があると思っていたところでした。
そんななかでBtoBの仕事をしてきた太陽さんとの話があり、すでに設備があって、顧客があって、従業員がいるっていうのは、ゼロからはじめるより投資金額や時間が節約できる可能性があると思ったんです。得意分野がかぶらない部分も多いので、太陽さんの既存の取引先にホワイトウィングスのアイテムを提案する機会ができることにも魅力を感じました。
あとは、会社には土地、建物、機械、人など、いろいろ資源があるのですが、特に引っかかるものがなかったんです。減点方式みたいな見方で嬉しくないかもしれないですが、「これだけは受け入れられない」というのが一個でもあると楽しくないですよね。
佐塚: クリーニング店の「ピュアクリーニング」を展開されていて、「海をまもる洗剤」の看板もよく見かけていましたし、ホームページを拝見しても、中村社長をはじめ従業員の皆さんが楽しく仕事をされている会社という印象がありました。以前、我々の工場を見学に来てくださったこともあり、あの会社さんが手を挙げてくれたという嬉しさがありました。
中村: 既存の取引先との関係の継続ができるかは、気になりました。売上げゼロからスタートするのは、時間もかかって大変なので、今の売上げの主要なところが継続できるかどうか。あと従業員さんの継続ですね。仕事があっても対応できる人がいないのは困りますから。従業員の雇用を守ってほしいというのは佐塚さんが強く訴えられていたことだったので、それに応えてくれる従業員さんがいるんだろうと推測しました。一緒に会社をよくしていくにあたって、前の経営者さんから協力が得られるかどうかというのは重視しました。
両社で手を携えて、相乗効果による成長を期待。
佐塚: M&A後は、ホワイトウィングスさんから新たに代表として松浦社長を迎え、私は取締役として残っています。もともと人手不足ということもあり、現場に立つこともありますし、仕事が大きく変わったわけではありません。ただ、自分が社長の時よりも、無駄なものや減らせるものは何かあるのか等、より具体的に数字に特化して経営に向き合っているところです。自分の性格上、トップよりもNo.2とかNo.3のほうが向いていて、そこにやりがいを見出せると思っています。今は新社長を迎え、太陽を一日も早くよくしていきたいと、ポジティブな気持ちで毎日過ごしています。
従業員へはM&A成立後に松浦社長と一緒に説明しましたが、混乱や不満は全くなく、以前と変わらずに仕事ができています。
中村: 佐塚さんには太陽さんの現場を上手く回し続けてほしいっていうのが、願いです。佐塚さんのもとで働きたいという人たちが集まっているわけですから。お互いいいものは取り入れながら、前を向いて歩いて行けるような人の集まりになっていけたらと思っています。
中村: M&Aが成立してまだ一か月で、まずは太陽さんの今までのやり方でやってもらって状況を見ている段階です。株主が同じでも、会社は別なので、企業文化を寄せるかどうかということも含めて、これから考えていくところです。ホワイトウィングスの企業文化を上手く利用してよりよい形を作れるなら、入れ込んでいけばいいと思うし、逆に太陽さんからこちらに取り入れる可能性もあります。今後、いろいろな整合性を求めてすり合わせていく必要があるかも知れませんが、まだ具体的には決めていません。
中村: 太陽さんの既存の取引先から、こんなことはできないかっていう依頼のようなものが、すでに来ています。また、今まで他社に依頼していた施設から、ホワイトウイングスにという提案も受けていて、比較的早く具現化しそうです。
BtoBの会社のなかには低価格で外注先に委託して利鞘を稼ぐケースも多いんですが、低価格の取引では品質面でいろいろな問題も起きています。だから信用できるところに委託したいというニーズもあり、そういう品質面では僕らは得意ですから。太陽さんは紳士的なリネンの大手と親しく長くお付き合いされてきたので、そういうところと接点を持てたのはよかった点です。
当面の目標は、太陽さんの事業運営が継続的に回る仕組みを確立することですが、太陽さんの取引先やその関連からホワイトウィングスのほうへの仕事が入ってくる見込みもありますし、それらをプラスオンしながら、取引先、従業員含め、みんながよくなっていくことを目指したいと思っています。
中村: 僕らは目先の損得よりもやりたいことをやれるということを大事にしていて、そのなかでM&Aには、新しくはじめる際の時間とコストを小さくできる可能性があります。経営者や従業員の考え方、組織風土的なものに「一緒にやりたくない」と思わない限りは選択肢として前向きに考えられるという認識ですね。良心的な社風の会社と手を携えて、時間や費用を省略できるならM&Aは有効だと思います。相手の企業にいい顧客がついているのはいい経営をやってきた証拠だと思うので、そういう信頼関係を重要視しています。取引先や従業員との関係性があまりよくないと感じていたら、今回の話も多分まとまることはなかったと思います。